ライブコマースの歴史を知ろう!日本と中国の違いと将来とは?

ライブコマースとは、「生放送の」という意味の「Live(ライブ)」と「商業」という意味の「Commerce(コマース)」を組み合わせた言葉です。日本では2017年頃から参入企業が現れ、2020年の新型コロナウイルスの流行をきっかけに大手企業の参入が増えてきました。一方で、まだまだ浸透しているとは言えない現状です。そんなライブコマースの歴史を詳しく見ていきましょう。

中国での流行

ライブコマースが生まれるきっかけは、2015年11月11日の「光棍節(こうこんせつ)」に合わせて行われた大規模なセールでした。この日は「独身の日」とも呼ばれ、1990年代からは、パートナーのいない者同士で集まることや贈り物をすることが若者の間で慣習となっていました。中国のEC大手である「アリババグループ」はこの日を商機ととらえ、「独り身の人は買い物をして元気に過ごそう」といったコンセプトで「W11(ダブルイレブン)」と銘打ったセールを行います。前夜祭でTVとオンラインで放送された、視聴者の参加できる企画が盛り上がったことから、ライブコマースの着想を得ました。

そして2016年5月、ECモール上でライブ配信によって商品紹介ができる機能を導入した「タオバオライブ」がリリースされます。さらに配信画面から直接購入できるよう改良され、現在のライブコマースの形ができました。このほかにも、中国版のTikTokである「抖音(ドウイン)」や「快手(クアイショウ)」など、新たなプラットフォームも生まれて広がっていきます。

ライブコマースを積極的に取り入れたのはKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる人々です。彼らはいわゆる「インフルエンサー」で、ブログで商品を販売するビジネスを行っていましたが、さらに効果的に販売できるメディアとしてライブコマースに注目し、次々と参入していきました。

流行の背景・理由は?

中国でライブコマースが定着した背景には、モバイル端末の急速な普及があります。さらにキャッシュレス化も進み、中流階級や富裕層の増加によって消費意欲が高まっていました。消費者が店舗へ出向かずに商品を選び、そのまま購入・決済までできる環境が整っていたと言えます。

商品購入の手軽さに加えて、商品の安さや信頼できるモールやKOLから購入できることなどから、ライブコマースはさらに広がっていきました。KOLはメーカーに価格交渉をし、ライブコマース限定で安く販売することも多くあります。また、中国では偽物の横行が問題とされていましたが、ライブコマースでは信頼できる店や人から買えるという安心感が得られました。

さらに、2020年の新型コロナウイルスの流行によって経済活動が制限された中でも、オンラインで販売・購入が行えるライブコマースはさらに定着していきました。農業や漁業に携わる人の中にも、ライブコマースによって収入を確保する人が多く現れます。

日本への流入

日本では2017年頃から参入する企業が現れ始めましたが、中国のような爆発的な流行は見られませんでした。しかし、2020年の新型コロナウイルスの影響によって巣ごもり需要が増え、対面を要しない販売方法として大手企業を中心に導入され始めました。アパレル関係や化粧品の企業が注目し、参入を始めます。

中国のように普及しなかったのは、背景や文化の違いによると考えられます。日本には対面での接客を重んじる文化が根強く、偽物の横行が少ないことから、ECが普及する必然性がありませんでした。そこへ新型コロナウイルスが流行したことで、経済活動の制限やテレワークの普及とともに、ライブコマースへの注目も高まったと言えます。

ライブコマースのこれから

中国ではライブコマースへの個人の出店も一般的でしたが、日本では多くのサービスやプラットフォームが企業向けのものでした。しかし現在では若者を中心にライブ配信アプリが人気を集め、ライブコマース機能のあるものやライブコマースに特化したものも登場しています。そのため、個人でもライブコマースに参入しやすい環境が整ってきました。個人・企業ともに、日本でのライブコマースは今後さらに広がるでしょう。

一方中国では、人気KOLの脱税や競争の激化による撤退の増加など、市場の急成長・成熟による新たな課題も見えてきました。ライブコマースの世界的な動向にも目を向けていきましょう。

まとめ

ライブコマースの歴史は浅く、日本ではまだこれからの分野です。参入企業の増加や手軽に始められるアプリによって、今後もっと身近なものとなっていくでしょう。興味のある人はぜひ、まずはリスナーとしてライブコマースを体験してみてください。そこで「始めたい!」と思ったら、ぜひライバーとしてライブコマースに挑戦してみましょう。

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