商品やアーティストのファンになったら、新しい情報はついチェックしてしまうものです。マーケティングの世界では、「ファン」に着目した手法である「ファンマーケティング」が注目されています。この手法は新たなメディアの出現に伴って生まれ、まさにライブコマースにも応用できるものです。「マーケティング」と聞くと堅苦しく感じる人もいるかもしれませんが、まずはエッセンスから取り入れてみてください。
ファンマーケティングとは、商品やサービスに強い愛着を持った熱狂的なファンを集めて、継続的に売上を伸ばしていくマーケティング手法のことです。注目され始めた背景には、情報を提供する媒体、つまりメディアの変化があります。
従来のメディアは、テレビや新聞などの一方的に情報を発信するものでした。しかし、インターネットやSNS、ライブ配信アプリなどによって、情報を発信する側だけでなく、受け取る側からの発信も可能となったのです。
熱狂的なファンは、愛着を持っている商品やサービスの魅力を自ら発信する傾向があるといわれています。現代では、口コミサイトやSNSなど、消費者自身が発信できる媒体が豊富になりました。ファンを増やし、商品の魅力を拡散してもらうことで、さらに新たなファンを獲得することを狙う方法がファンマーケティングです。
「受け取る側からの発信」でピンときた方もいるかもしれませんが、ファンマーケティングはライブコマースをする上でも役立つ考え方です。ライブコマースの魅力は、リアルタイムで双方向にやり取りができる点です。この点を生かすことができれば、様々なメリットを得られるでしょう。
ライブコマースでは、リスナーの疑問にリアルタイムで答えることができ、「商品の後ろを見せてほしい」「商品を羽織ってみてほしい」といった希望に応えることもできます。リスナーは商品のことをよく知った上で購入できるため、満足度の高い買い物ができます。商品の良くない点もあえて見せる、様々な使えるシーンを提案するなど、リスナーに真摯に向き合うことで、信頼感にも繋がるでしょう。
リスナーは、コメントでライバーに企画や商品についての要望を伝えることができます。リスナーの声を生かすことができれば、リスナーは嬉しさや楽しさを感じられ、買い物だけでなくライブコマースそのものに満足感を得ることができるでしょう。また、ライバーにとってもリスナーのリアルな考えや要望を知ることができるのはメリットです。
ライブコマースでは、リスナーに商品を紹介する中でライバーのことも知ってもらえます。商品だけでなく、ライバーについても魅力を感じてもらうことができれば、より愛着を持ってもらえるでしょう。つまり、ライブコマースでは商品だけでなくライバー自身も魅力となることができるのです。
そのためには、トークや企画の中でライバーの人柄に共感してもらうことが大切です。リスナーに近い距離感で、馴染みやすい雰囲気づくりを心掛けましょう。また、試行錯誤を繰り返してきたというような「ストーリー」をリスナーと共有できれば、さらなる愛着に繋がります。
ファンマーケティングには、ファン同士のコミュニケーションによって商品の使い方や分からないことを教えあうような、カスタマーサポートの役割を果たすこともあります。ライブコマースにおいても、リアルタイムで届くコメントによってリスナー同士がコミュニケーションを取ることができます。これはリスナーの連帯感にも繋がり、ライブコマースの楽しみの一つとなるでしょう。
マーケティングには、一人の顧客が生涯でどれだけの利益をもたらすかという「LTV(Life Time Value)」という言葉があります。LTVは顧客によって異なり、その商品やサービスのファンであるほど大きくなるものです。
また、以下のような意味を持つ「パレートの法則」もあります。
全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
もともとは、所得の分布についての法則として1800年代に発表されました。現在ではビジネスにおいて、「売上全体の8割は2割の顧客が生み出している」といった意味で多く用いられます。
ファンはLTVが大きく、2割のファンによって8割の売り上げが生み出されることもあり得るということになります。ファンを増やし、大切に育てることの重要さがうかがえるでしょう。もちろん、新たなリスナーを集めることも大切です。さらに常連のリスナーを増やして信頼関係を築いていくために、何ができるかを常に考えていきましょう。
ファンになってもらうことは、リスナー数の確保や売上、さらにライバーのモチベーションにも直結します。ファンマーケティングについて知ることで、ファンを得るために何をすればいいかが見えてきたのではないでしょうか。リスナーに喜んでもらえて、なおかつ売上やモチベーションが上がるとなれば、これを生かさない手はありません。この記事を読んで「参考になるな」と思えたことがあれば、ぜひ取り組んでみてください。