ライブコマース×地方銀行?地域を盛り上げる担い手となった事例を紹介

新しい販売の手段として注目されるライブコマースですが、地方銀行が関わる事例があることをご存じでしょうか。最新の販売手法とお堅いイメージの金融機関は、一見関わりの薄いものに見えます。しかし、地方銀行ならではの強みをライブコマースに活用している事例があります。この記事で、実際にどのような取り組みが行われているのか見ていきましょう。

ライブコマースと地方銀行、接点はある?

ライブコマースは、リアルタイムの配信によって商品の魅力をアピールし、双方向のコミュニケーションによってアピールポイントをわかりやすく伝えられる販売手段です。リスナーからの質問やコメントに答えられるため、顧客の満足感を高められる点がメリットです。商品はアパレル関係や化粧品、食品など多くのものがあります。

一方、銀行の商品といえば、預金や投資など目に見えないものが多いものです。しかし、今回紹介する事例での商品は銀行の売り出す商品でなく、銀行が橋渡しとなって売り出す地元企業の商品です。

地方銀行の役割

地方銀行は、その地域の企業や地場産業へ融資を行い、資金の面で地域の産業を支える役割を持っています。地方銀行自らが融資先を探し、有望な地元企業を発掘することも業務の一つです。その中で、地方銀行には多くの情報が集まってきます。顧客同士の橋渡しとなってマッチングを行い、新たな関係性や事業を生み出すことで地方創生へ繋がるとの期待も集まっています。

地方銀行の強みをライブコマースへ

人口減少や景気の変動により、国内での消費は低迷しています。また、新型コロナウイルスの流行などにより、大規模な展示会の開催は難しいのが現状です。これらの課題を解決する方法としてライブコマースが注目されています。

地方銀行が主体となって、顧客である地元企業のニーズを汲んだ企画や、ライブコマースを行う会社と地元企業を結び付ける企画などを実現しています。企業の相談相手であり、様々な情報や繋がりを持つ地方銀行の強みを生かした取り組みです。

地方銀行と地場産業が提携したライブコマースの例

では、具体的にどのような事例があるのか見ていきましょう。

青森銀行「あおぎん L❤I❤V❤Eコマース」

2022年7月に10日間にわたり行われた、青森県の青森銀行主催のライブコマースです。県内の事業者20社によって、幅広い魅力的な商品が出品されました。商品は食品をはじめ、家具や器、雑貨、ホテルの宿泊プランなど多岐にわたり、地場産業に精通している地方銀行の強みを生かした企画と言えます。地元企業の担当者による商品の紹介が行われ、青森の言葉のゆったりとした訛りもあいまって和気あいあいとした配信となりました。

伊予銀行「食品ライブコマース」

2021年12月に行われた、愛媛県の伊予銀行主催のライブコマースです。この取り組みはシンガポールの個人消費者に向けたもので、県内の事業者20社が参加しました。現在、自社商品の販路を海外へ展開したいというニーズは増えています。そこで、ライブコマースに強みを持つシンガポール企業「アングリス社」と業務提携しているフォーバル社との協力によって、実現したのがこの企画です。ノウハウや手続きの必要な海外展開ですが、その分野に強い会社と地元企業との橋渡しをすることで、地方銀行ならではの役割を果たす取り組みであったと言えます。

まとめ

ライブコマースといえば、若者のものというイメージやインフルエンサーのキラキラしたイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、浸透していく中で社会的な課題解決に活用されるようにもなってきました。地方銀行が主催して様々な年代の事業者が関わることで、ライブコマースの可能性が幅広く認知されていくと考えられます。そして、こうした取り組みは個人や企業の事業を考える上でも参考となるでしょう。

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